Première étoile

舞台俳優のおたく

舞台「画狂人 北斎」感想

みなさんこんにちは

だいぶ前に推しごとはじめしてきました。

この舞台の為に取得した長期休暇もあっという間に終わって……というか気付けば二月が始まってました!笑 今月も推しのカレンダーはかっこいいな!

休暇中は毎日はてブを更新する予定だったのですが予定を詰め込みすぎて結局一度も記事書けませんでした。幸せな忙しさだなオイ!

2019年1本目の作品はこちら

舞台 『画狂人 北斎

no-4.biz

1/10〜20@新国立劇場 小劇場

推しくんが約一年ニヶ月ぶりのストレートプレイに挑んだ今作、つまり私は今回が推しくんの初生ストプレでした。わくわく。そして演出は世界的にも名高いあの宮本亜門さん。しかも玉城さんもご出演♡これは期待しかない。

あらすじ

江戸時代。葛飾北斎と娘・お栄の親子関係を軸に、それを取り巻く高井鴻山、柳亭種彦との人間模様。そして現代。長谷川南斗と峰岸凜汰のそれぞれの北斎に対する思い、そして、葛藤。江戸と現代往き来する展開の中で、それぞれの時代を生きる6人の人間たちを通して、人生とは何なのか、人間とは何なのか。
「画狂人」と呼ばれる北斎そのものの生きざまが現代人に問います。

(公式HPより抜粋)

そういえばこのあらすじの中に時太郎出てこないな…

 

感想の前に葛飾北斎自身について話します。

舞台の感想だけにすればいいんですけど、ちょっと調べてみたらめちゃくちゃ面白かった。

葛飾北斎といえば「富嶽三十六景」や「神奈川沖浪裏」など、一度は目にした事があるような名の知れた画家。推しくんが北斎出るって知るまではそれ位しか知らなかった。

1998年にアメリカのライフ誌が発表した「この1000年間に偉大な業績をあげた世界の人物100人」では、日本人でただ一人北選ばれた世界的にもネームバリューのある人らしい。

そして「北斎」という画号(いわゆるPN)ですがこれは4、5年しか名乗っていなかったようですね。知らなかった。生涯で30回も変えているようですね。春画用の画号「鉄棒ぬらぬら先生」は現代でも通用しそうだけど割とガチで引いた。

彼は最終的に「画狂老人卍」と名乗っています。字面が強い。絵に狂っていると自覚する程描くことに情熱を注いでいたなんて好感しかない。(あと老人と自覚しているジジババは比較的害が少い印象なので好ましい)しかも引越し魔で生涯で九十数回も引越しをしててひどい時は一日に三回家を変えたらしい。手続きとかないのか?しかもそのすべてが墨田区内だったという謎っぷり。

この時点でなかなかに個性が強くて一人の人間として興味深いなと思いました。

ちなみに北斎の描く動物(特に子犬と鳥)と花木の絵、あと「略画早指南 後編」が好きです。文字を並べてそこから絵を描くなんてユーモアのセンスありすぎる。晩年に描いた「羅漢図」も卓越した筆づかいで見るものを圧倒する感じがいいですね。好きです。歳を重ねていく度に作品の凄みが増していて、晩年は随分と高齢なはずなのに線にぶれがないし、どんな体力と精神力持ってたんだこの人って感じ。

この知識のほとんどは両国にあるすみだ北斎美術館と、六本木森アーツギャラリーで開催中の新・北斎展で学んだものです。

画狂人北斎は舞台を観るうえで知らなくても困らないけれど色々知っていたら北斎の心に寄り添いやすく、作品が味わい深くなるという事前学習、事後学習がたのしい作品でした。

私こういうの好きなんだよな〜作品を通じて学べるってたのしい!

亜門さんもアフトで舞台をきっかけに北斎をもっと知ってもらえたらと仰っていたし、まんまと私はその流れに乗っています。難しい事は分からないけど美術が好きなので、題材自体も私に合っていたのかも。

 

ここから感想です。(前置きが長い)

 

  1. 凛汰と南斗

根拠に基づいた北斎論を論理的に語る南斗とフィーリングや感情で読み解く凛汰はまさに水と油。互いの考えが交差することはないけれど、相手の意見を真っ向から否定しないのは好ましかった。人の意見も聞いて理解し合い自分の意見も持つ、人間そうありたいよね。震災で麗奈を失ってから筆を取ることをやめてしまった凛汰を立ち直らせてあげたいと気にかけている南斗は先輩らしいなと思ったけれど、それ以上に南斗は

「自分がなりたくてもなれなかった画家への道を凛汰に託したかった」んだと思う。

「人の心を震わせる才能を持った奴だっているんだ、北斎やお前のように」(的なニュアンス。うろ覚え)と言った通り、南斗は凛汰の絵が好きだったしその才能が羨ましかったんだろうなあ。だからこそ過去に囚われいつまでも背を向けている凛汰がもどかしくて悔しかったんだ。

真っ黒で塗りつぶされたキャンバスを見せられた時キレてたのは、バカにしてるつもりかって言ってたけど深層心理的には本当に凛汰の絵をもう一度見られることが嬉しくて期待してたからじゃないかって。凛汰が全てを諦めそうになった時も南斗は励まそうとしてくれた。時として感情的になりがちだけど基本的にはいい先輩なんだよ…。

話前後してるけど、二人が喫茶店でお茶するシーン好きだなあ。南斗が音楽に合わせて手ふりふりする所が可愛い。南斗が画家を目指していた事を知った時、凛汰の話への食いつきが明らかに変わって目をキラキラさせるところが好き!すごくニコニコして前のめりで聞いててさ〜やっぱり描くの好きなんだね…。凛汰可愛いな〜!

 

 2.各人の感想

升毅さん(葛飾北斎

家の隅で布団包まって絵を描いて登場するのほんと北斎…美術館でその姿の人形見たよ…。升さんの北斎は喜怒哀楽がはっきりしていて元気なおじいちゃん!って感じ。お茶目で可愛い。種彦が奉行に捕まった後小布施に逃げる前の怯えた姿が弱く小さく可哀想に見えて、さっきまでの元気どこ行った?人間そこまで瞬時に温度差変えられる?って思って北斎がというより升さん演技力が怖かった。

今回北斎北極星を恐れていたのは、おそらく彼が北極星と北治七星を神格化した日蓮宗系統の北辰妙見菩薩を信仰していたことに関係するのでしょう。水死体をの解剖を実際に見て人間について知った彼が恐れていたはずの北極星に向かって手を合わせたのも生のありがたみとか水死体の供養とかそういう想いからなんでしょうかね。

 

黒谷友香さん(お栄/麗奈)

お栄は初日、二日目は気の強い女感が強かったけれど日に日に語尾が柔らかくなって気さくなアネキっぽくなっていった気がする。最後の最後、凛汰のキャンバスを全員が集まって眺める所で種彦と顔を合わせ幸せそうにしている所を見て一度号泣した。

麗奈は何歳の設定だったんだろう。絵が描けなくて心がぐちゃぐちゃなっちゃう凛汰をおっきく優しく包み込んでくれるような明るくてはつらつとした素敵なお姉さんだったなあ。

 

 玉城裕規さん(時太郎/高井鴻山)

魔界転生の田宮坊太郎を観てから玉城さんの個性的な笑い声のファンなのですが、時太郎もゲスみのあるあの高笑いが最高でした。聞くだけで玉城さんだ!ってニコニコしちゃう。俳優みんなそうだけど、特に玉城さんはオンリーワンな存在だと思ってます。絶対キャラ被らないじゃないですか〜!おでこが丸くて眉が薄くて目がぎょろっとしているあの顔の比率が半端なく美しい。

時太郎は少なからず北斎から与えられた自分の名前に誇りを持っているのかなと感じました。(時太郎は北斎が幼少期に呼ばれていた名前でもあるので)まあその名前を利用して北斎から金をせびるクズなわけですが。なんだかんだ金くれるの分かってるからクソ舐めた態度を取ってますけど、北斎が母を見捨てた恨みを抱えていると思うとちょっと切ない…時太郎、おっかあ大好きだもんな…。

鴻山は髪結ってるから玉城さんの美という美を思う存分堪能できてよかった。クズ孫としっかりものの弟子を同時に演じられるのほんと役者ってすげえ…。

 

津村知与支さん(長谷川南斗)

八方睨鳳凰図の目の位置に視線がいくように〜の説明はさすがに無理があるよ先輩!けど南斗がいつ自分の心に素直になるか最後の最後までずっと気になってたからほっとした…( ;  ; ) あの鳳凰の目と北極星が重なっていく演出考えた人誰?亜門さん天才すぎやしませんか?ドでかい鳳凰が迫ってくるの若干怖かったのですが、それに気付いてからなおさらぞくっとしました。

ずっと誰かの声に似てるなって思ってたのですが、四回目くらいにそれが杉山紀彰さんだと気付いてからその日の回は南斗が話す度にイギリスくんを思い出してにやにやしてしまい大変でした。

 

三谷あつしさん(柳亭種彦/馬場修平)

種彦の「祇園精舎の鐘の声~諸行無常の響き~あり!」のあの語り草がすごく好きであれもうちょっと聞いていたかった。北斎シーボルトに貰った望遠鏡?使って二人してバカやってるシーンがお気に入りです。十字架のこと言わずに北斎のこと守ったのって、義理堅い男で北斎を尊敬しているからでもあるけど北斎が捕まったらお栄が悲しむからっていうのもあるんじゃないかな~て思ってます。愛する女とその家族のために…種彦お前いい奴だな…。

 

推しくん(峰岸凛汰役)

役名発表された時は峰岸凛だったけど、いつの間にか凛汰になってた。でも分かる、凛だとシュッとしてかっこ良すぎるし完璧っぽい。名前の最後の子音を「A」にすることで安定感あるしちょっと野暮ったいくらいの方が役にあってるもん。

ビジュアルは伸びに伸びた髪を片方に寄せて固めててめちゃタイプでした。付き合ってくれ。あと君はなんて肌が綺麗なの…( ;  ; )SK-IIのCMのオファーが来る日も近いね!推しくんは大体どのメイクさんがやっても発光肌系の仕上がりになるイメージなんだけど、凛汰くんは群を抜いてうるツヤで僕の肌は水分100%です!ってくらいちゅるちゅるでベイビーだった。

アバクロのパーカーのロゴがきれいに取り外されていたのは目立ってよくないからなのかな。衣装さんの細かい配慮に感服致します。

凛汰は等身大の「ごくふつうの青年」で、特に目立ったキャラではないけど言葉発さずとも目線とか細かい仕草から心情が読み取れてすごく愛おしかった。お、推しくんそんな繊細で丁寧な演技ができたのね…?

南斗が講演で「数理科学で計算された~」って北斎論を自慢げに話してるときに理解できないとでも言うようなうんざりした表情しているのがたまらなく好きでした…その顔可愛いね…。個人的にはお酒で酔っ払う姿と横になって眠る姿が見られてよかった。まるくなって寝てるの超可愛い…。

麗奈にぎゅ~されてる時の凛汰くんが小さい声で「うん」って相槌打ってるのほんと可愛くてきゅんきゅんしたし推しくんも彼女にこんな反応したりするのかな~と病んでみたりしました。麗奈の代わりにはなれないけど私がパトロンになってあげるよ…俺が養ってみせる…。

凛汰はこれからも麗奈のことを愛し続けるんだろうけど、いままでのような後ろ向きな気持ちじゃなくて、麗奈が信じて応援してくれた心からの声援や自分自身の描きたい気持ちを大事にして前に進んでいくんだろうね。

例の夜空を眺める凛汰観賞タイムですが、お栄と北斎が取っ組み合いするシーンで『描きたい奴が描けないのがかけねえのがいちばん苦しい』って言ってる時に凛汰も自分の真っ黒のキャンパス見ながら苦しそうな表情浮かべているのがリンクしていてよかったです。あんなに近くで推しくんの顔をまじまじと見られる機会そうそうないですね。脳裏に焼き付けました。

 

 

余談ですが、ブロマイドが四枚一組で千円て言われてたからそのつもりで物販行ったらまさかの「推しくん①~⑤」で計二十枚もあってめっちゃ笑いました。推しくん一番種類多いやん…もちろん嬉々として全部買いました。制作側から金のなる木認定されているんだろうなあ。今回の制作会社エヌフォーさんは泪橋も企画されてるからこりゃ物販楽しみだ!!舞台写真は差分みたいなやつじゃなくてもう少し場面を分けてくれると嬉しいな。でも凛汰が自室でうずくまりながらコンクールの応募ハガキ片手にため息ついてる所をうまい具合で撮ってくれたのは大変グッジョブでした。ありがとうございます。

舞台の構造から照明のタイミング等何もかもが巧妙すぎてやばかったですね…。麗奈が波にさらわれたあとに舞台いっぱいに広がる「神奈川沖浪裏」の大波のアニメーションとか「八方睨鳳凰図」が迫ってくるのほんとめちゃくちゃ怖かったです。絵の迫力にやられたのもあるんですが、ここでこうやって使ってくるか…というセンスの高さが怖かった。ちょっと自分が何言ってるのかわからないけど、亜門さんの演出がすごく好きでした。

 

複数回観ましたが、毎日どんどん演出やら演技が少しずつ変わっていて亜門さんの熱を感じましたし、役者一人ひとりのパワーが強くてどんどん進化していくので観ていて飽きなかったです。作品そのものが生きてました。

様々な人の人生関係とか葛藤が生々しく描かれて人間くさくて好きでした。亜門さん演出の作品でまた推しくんが観られる事を願います。

 

少年社中さんのトゥーランドットも休暇中に観てめちゃくちゃ感動してボロ泣きしたんですけど、如何せん鳥頭なもので記憶がなくて結末を覚えていません…。すごく感動した事だけ覚えてます。松田凌くんのパワフルな演技と凛として可憐な生駒ちゃんと圧倒的歌唱力を誇る鈴木勝吾さんが最高でした…もちろん井俣さんもばばりょさんも…。初少年社中さんだったのですが社中さんの演劇は全身全力!!!って感じでパワーにあてられて胸が熱くなって泣く。井俣さんの「これが演劇だ!」だけで泣ける。可能な範囲で追っていきたいです…。

刀剣の映画も舞台挨拶含め5回ほどキメてまして、こっちも記事を書いている所なのですが鈴木拡樹さんの演技力がとんでもなく神すぎるという感想だけ先に置いておきます。拡樹さんほんと………やばいです…。

 

新年早々いいものが観られて幸先良いなあ。

今年もたくさん素敵な作品と推しくんに出会えますように!明日から稽古頑張れ~今日も大好きだ~~!!